いとげん味噌工房は、残念ながら2024年はじめに廃業してしまった糀屋だ。出会ったのは2014年の秋頃。もともと、手づくりの麹をもとに味噌をつくっていたが、店主はアイデアあふれる人で、麹を使った新しい商品として「糀(麹)の甘酒」を開発し、販売していた。今でこそ糀の甘酒は珍しくなくなったが、当時は甘酒と言えば「酒粕を使うほう」のイメージがまだ強かった。
ラベルのデザインを依頼されたのは、通常の「白米」だけの甘酒の他に、「黒米」をまぜたものを開発したタイミングだった。飲んでみると、びっくりするほどうまい。「飲むとみんな買ってくれるんですけどね」という言葉にすごく納得した。試飲ができない売り場でこの魅力を伝えるために、まずはネーミングから取り掛かった。「強い」グラフィックは、糀の甘酒が珍しくなくなってからも、人気商品として定着した。