ブラウンチーズとは、チーズを製造する過程で出る「ホエイ」に乳と生クリームを混ぜて煮詰めたもので、キャラメルのように濃厚で自然な甘さが特徴だ。ブルノストとかイェトストと呼ばれ、ノルウェーではポピュラーなものらしく、ヤギの乳を使ってつくられているそうだ。厳密に言うとチーズではないそうで、日本でも少しづつメーカーが増えている。
あまり馴染みのないものだから、まずはネーミングからはじめた。ブラウンチーズという言葉は、今後広まっていくだろうし、競合が現れた時に埋もれてしまわないアイデンティティが必要だと考えたからだ。池端宏介から上がってきたのは「ホエイキューブ」。ホエイを煮詰めてキューブ状にしたものだから素直で分かりやすい。
考えたのは、まずサイズ感だ。60gのホエイキューブはとても小さい。売り場での見え方を考えて、すこし大きな箱にすることも考えたが、紙をたくさん使うし、何より農家の手づくりのイメージと立派な箱の高級志向が合わないと考えた。そこで、サイズは必要最小限に。なおかつ、なるべく材料を使わないように組み箱ではなく、両面テープで組み立てる方法にした。こうすることで、はめ込みなどの仕組みがいらず、用紙のサイズを最小限にできる。組み立ての手間はかかるが、そもそも、そんなにたくさんつくれないものだ。
また、紙をたくさん使わないということは、そのままコスト減や環境負荷の低減につながる。これだけ使用する紙の面積が違えば一目瞭然だろう。
写真では分かりづらいかも知れないが、実はこの箱、正面と底面の正方形の折り線がまっすぐではない。わざと歪んだ箱になるように、折り線を曲げた状態で抜き型をつくった。これによって、組み立てた時に、すこし歪んだ箱になる。中に入っているキューブも人の手で切られていびつな形だから、そのイメージに合わせた形状にしたためだ。
メインのイメージはバウアーファームのシンボルと同様に、「WHEY」の文字を牛の模様に見立てたグラフィックにした。茶色の用紙に印刷したので、白い部分は白の箔押しだ。目と鼻輪を加えて牛の顔にしたが、側面に切り込みを入れると耳ができることを発見して、後から耳をつくった。
販売開始に合わせてリーフレットも制作した。まだ馴染みのないものなので、食べかたなどを伝えるためだ。
2024.3
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C: 池端宏介
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